"The Second Star To The Right"は、本当に"右から2番目の星"なのか(ピーターパン)

まずはかとソロ、お疲れ様でございました。

ねこを名乗るはしくれとして、あんなに2がいっぱい盛られてくるとは思わず、かとちよく頑張ったなあ、という気持ちです。いつものテイストの記事もまた上げます。

 

本編最後の"The Second Star To The Right"、"ピーターパン"からの曲ですけど、「これは本当に"右から2番目の星"の邦題で正しいんだろうか……?」、なんて、ふと思ってしまって。

それで、いつもの記事の資料になるかな~って思って調べてみたら、ちょっとそれでは収まりきらないくらいのボリュームになってしまったので、今こうして別立てで記事を書いております。

ピーターパンから来た方も、おつきあい頂ければ幸いです。

 

あくまで私の見解にすぎないんですけど、英語タイトルの邦訳で数字を前面に押し出してくるのは、ほんとにその数字が名詞的に必要な場合か、宗教的な意味を伝えたい場合の、往々にして2択だったりすると思っていて。

ただ、キリスト教で2が何を指すかっていうと、あんまり特に何もない。象徴としての意味はあるにはあるっぽいけど、それこそ"13"や"666"ほどに、強烈に宗教的モチーフを示すものではない。

で、調べててぶちあたったのが、「ピーターパンは右から2番目の星に帰らない」話をしてるページ。

となると、もしかして、"The Second Star To The Right"というフレーズは、もっと別の訳し方とか、別の意味にとれるんじゃないか、という仮説が立てられるわけで。

 

こういう時は、名詞の意味から拾っていくといいんですよ。まずは"Second"。

weblioの該当ページによると、"Second"という綴りの言葉は、大きく3種類の語義を取る定義がなされてます。このうち、真ん中の他動詞はこの文脈では使えなそうなのでパス。そうすると、secondは該当ページの記述順に

①2番目の、次に(形容詞・副詞・名詞)

(~を)支持する、裏付けする(他動詞)

②秒・瞬間・少しの間(名詞)

 という、大まかな2つの語義があるわけで。

 

続いて同じように"right"。まあこっちも該当ページ引きつつざっくりと、

①正しい・適切な(形容詞・副詞・名詞)

(~を)戻す、まっすぐにする、立てる、起こす(他動詞)

②右の、右側の(形容詞・副詞・名詞) 

 という2つの語義が確認できます。

こっちは"wrong"が対義語になる場合(→①)と、"left"が対義語になる場合(→②)と考えたらわかりやすいかな。

 

つまり、それぞれ使ってない方の意味を使って"The Second Star To The Right"を訳すと、"適切な瞬間の星"となります。これだとまだよくわかんないね。

ちなみにイディオム確認しておくと、"to the right"で"右に"、"適切な場所に"。用法としては前者が大多数っぽいです。

このよくわかんなさは、フレーズ中に動詞がないことから来てると思うんです。プレバトの俳句コーナーで、例えば「風が吹く」なんて句を詠んだゲストがいたとしたら、夏井いつき先生が「吹かない風があったらもってこい」って言うシーン、しばしば見ません? それの逆をやればいい。

星だから、「光る」。"適切な瞬間に光る星"。まだちょっと説明文くさい。じゃあ一旦この訳のまま、原曲の歌詞にもっていく。

"The Second Star To The Right"が歌詞のフレーズとして出てくるのは第1パラグラフと第2パラグラフのそれぞれ1行目。第1パラグラフの該当箇所はギリギリ"右から2番目の星"の邦訳で通じるとして、第2パラグラフにそのままの訳を突っ込んでみたらさ、あんまりにも意味が微妙過ぎない……?

 

第2パラグラフ、まるっとここに持ってきます。

The second star to the right

Shines with a light that's rare.

And if it's Never Land you need

Its light will lead you there

 下3行を先に、私なりに訳しておいておくと、

(それが)滅多に光り輝くことはない

そして、ネバーランドの光は、

そこをあなたが必要とするときに導いてくれるでしょう

この文章の冒頭に、"右から2番目の星"を持ってくるのはちょっと前後がかみ合わない気がします。

ここで、さっきの暫定訳だった、"適切な瞬間に光る星"を持ってくる。このままじゃ説明的なので、それぞれの大まかな意味は変えず、もうちょっと歌詞っぽい感じにすると、

ちょうどよい瞬間に光る星

(それが)滅多に光り輝くことはない

そして、ネバーランドの光は、

そこをあなたが必要とするときに導いてくれるでしょう

どうでしょうか。私はだいぶしっくりくる気がします。滅多に輝くことがないからこそ、必要な瞬間に光って、瞬いて導いてくれる星。

 

で、英語圏で、この"The Second Star To The Right"を、今私が挙げた意味と近いような意味で解釈している裏付けが取れればいい。どうするか。英語でググる

what does the second star to the right mean - Google 検索

 

そうしたら、まんまどんぴしゃのことを解決してるQ&Aページがあったので、該当ページをもってきます。(邦訳はGoogle先生twitterの翻訳をベースに、わかりやすい表現にして必要なところだけ抜き出してきてます)

Q:What does this mean "second star to the right"?

(略)second star to the right and straight on to a morning that would never arrive.

"second star to the right"の意味はなんですか? (略)

 

BA:It originates from the book Peter Pan by JM Barrie. Disney based the movie on the book. The whole paragraph refers to time passing quickly. The expression you are specifically asking about are metaphorical directions on how time flew and where.

BA:その表現はJ.M.バリーの"ピーターパン"という書籍に由来します。ディズニーはこの本を下敷きにして映画を作っています。

そのパラグラフ全体は、非常に短時間の時間の経過を指します。あなたが特に求めている表現は、時間がいつ、どのように流れていくか、という比喩表現をさします。

 

もうね、これにぶちあたったときの感動はものすごかったです。あってた!!!! っていう感じ。

ちなみに原文では"Second star to the right and straight on till morning"と記述されていて、それがそのまま"光陰矢の如し"みたいなイディオムとして使われてるみたいですね。右から2番目でもなんでもない。

 

なので、結論としては、"The Second Star To The Right"は、"右から2番目の星"というよりは、"適切な瞬間の星"という方がより文脈にあうんじゃないか、という話です。

もうちょっとロマンティックに訳すると、"ちょうどよい時に光る星"とか、"よい瞬間に光る星"とか、"一瞬正しく光る星"とかかな。主語入れて"あなたを導く時の星"とかもいいな。

 

中の人は英語の専門家ではないので、誤謬や不明瞭な点があれば都度コメント頂ければと思います。必要に応じて対応します。

 

ちなみに今回の"second"や"right"のように、同じ綴りで異なる意味を持つ単語を、「同綴異義語(どうてつ・いぎご)」と言います。英語版wikipediaには同綴異義語(homographs)の一覧ページがあるので、興味ある人はそちらも併せてぜひどうぞ。

 

以上です!これからかとソロレポに戻ります!

長々とありがとうございました!